王立情報省

「長官、何ですその資料?」
「ん? ああ、これ。……見る? でもつまんないわよ」
「では。……何だ、管理人の個人情報じゃないですか。つまらない」
「だから言ったでしょ。つまんないって」
「いえ、本当につまらないとは思わなかったものですから」
「何よそれ」
「……それにしても、何で今更こんなものを?」
「さあ、気紛れじゃないの? 管理人、むらっ気ひどいらしいから」
「ああ、それは……」
「……ずいぶんしみじみと言うじゃない」
「それはもう、身にしみてますから」
「それは、御愁傷様ね」
「それは小官の台詞ではないかと……」
「あら、私出番増えてるもの」
「……」
「怒ったの?」
「いいえ。呆れているのであります」
「! 言うわね……」
「これくらい序の口であります!」
「はいはい、判ったわよ」
「それにしても長官、不思議だとは思われませんか?」
「急に真面目にならないで。吃驚するじゃない。……で、何が?」
「いえ、この程度の情報が何で今まで秘匿されてきたんでしょう? セキュリティだってなきに等しいという状態ですのに」
「あなた、『ヰルス』って知ってる?」
「? ええ、まあ」
「筆箱のことは?」
「もちろんです」
「じゃあ、話は早いわ。……この『ヰルス』というものは、『窓』と言い表される一連の筆箱にはよく出没し被害をもたらすといわれている」
「……はい」
「しかし、一方で『林檎』という一派に関しては、殆ど影響がないと言い伝えられているの。色々調べてみたけれど」
「……」
「そして、その最大の理由といわれているのが、『労多くして益少なし』という事らしいのよ」
「……つまり、管理人はその『林檎』とやらを使っていると?」
「あのねえ……」
「違うのでありますか?」
「そ、そりゃあ、違わないみたいだけど……。そうじゃなくってこの場合はつまり、管理人もおんなじことを考えてたんじゃないかしらってことよ」
「といいますと?」
「わざわざ公開するまでのことはないってこと」
「なるほど。……しかし、長官。そうなりますと、こうやって我々がわざわざ出てきて引っ張ることもないのでは?」
「……!」


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